この記事では、ドラゴン桜に現実味があるのかどうかを検証してみます。
ドラゴン桜は弁護士の桜木健二が、落ちこぼれの生徒を東大受験生として、一年間みっちり指導していくストーリーです。
私も大好きな作品ですが、このドラマが流行したとき、こう思ったことはありませんか?
「オレ(私)もこうやったら東大に入れるのかなぁ?」と。
私は高校生の時、ドラゴン桜一期がドラマ化したので、実際にそう思いました(笑)。
あの頃は、私も若くてピュアだったと思います。
ということで、あれから10年以上たった今、私も東大受験を指導する立場になったので、ドラゴン桜の勉強法やプロデュース、ひいては「東大合格」という現実味があるのか、検証したいと思います。
それだけではなく、どうすれば少しでも合格率が上がるのかも書きます。
だから、「これから東大を受けようかなぁ」と思っているなら、ぜひ参考にしてくださいね。
ドラゴン桜に現実味はあるのか?
まず最初に、ドラゴン桜を見る限り、「東大合格」という現実味は無いとは言いませんが、薄いと思います。
残念ながら、ドラゴン桜は理にはかなっていますが、あれだけでは一年で合格はできないでしょうね。
なぜか?
それを今から、「勉強法」、「プロデュース」、結論として「実際の東大合格の可能性」の三つに分けて説明しますね。
ドラゴン桜に現実味はあるのか?勉強法編
さて、ドラゴン桜の勉強法ですが、実際にドラマやマンガを見てもらえればわかりますが、意外と(?)理にかなっていると思います。
たとえば、
- 英語では話すことでアウトプットさせて、感覚を使って、英語の感覚を吸収している。
- 数学では、基礎が大事で基礎の計算ドリルからやっていることで、徹底的に計算力を固めている。他に、文章題を出し合って、出題者の意図を見抜く感覚を養っている。
- 現代文では、まず第一に語彙を大事にして、筆者の主張を読み取り、欲しい答えを返す訓練させている。
- 古文ではマンガを読ませることで当時の生活や文化背景を理解させている。
- 暗記量が膨大な社会理科では、メモリーツリーなどで暗記事項をそれぞれに関連づけ、秩序立てて整理される作業を課している。
以上のような、安易なテクニックに頼らず、思考力を養うような授業をしていました。
これらは大いに評価すべきだと思います。
東大受験は思考力を問う問題が多く出てきます。
よって、多くの高校で行われているような、「普通の授業」による勉強ばかりでは対応できませんからね。
結論として、ドラゴン桜の「勉強法」は決して悪くないと思われます。
私も実際に指導する時は興味を持たせるように、古文のマンガを読ませたり、単に意味を取るだけではなく、内容を味わうようなタイプの授業をしています。
ドラゴン桜に現実味はあるのか?プロデュース編
次にプロデュース編。さて、ここではっきり断言します。
勉強法は意外と理にかなっていますが、
プロデュース的な面で言うと、現実味は無いです!
なぜか?
何よりも、本人のモチベーション面です。
たとえばドラゴン桜では合宿をさせたりして、生徒たちに猛勉強させていますが、実際、生徒にはあんなキツい勉強は継続が出来ないと思われます。
一般の東大受験生は一日12時間以上勉強するものです。
しかし、東大受験しない子は、毎日12時間以上勉強するのはかなり困難。
つまり、学校に何となく通っている子は、12時間も勉強できず、5時間程度で音を上げると思われるのです。
まして、ドラゴン桜に出てくる生徒は、これまで勉強をサボってきたような生徒ですよね。
まず、モチベーションがもたないと思われます。
実際、生徒が途中嫌になって勉強を投げ出すシーンがありますが、あれが普通です。
「作中では勉強に戻るけど、普通なら長時間の勉強をいきなり始めると、そのまま投げ出すか、妥協して終わるだろうな」
と思いました。
よって、あのドラゴン桜のプロデュースは現実味が無いと思われます。
結論:ドラゴン桜に現実味はあるのか?実際の東大合格の可能性編
ここまでで分かると思いますが、ドラゴン桜を真似る感じでやっても
実際の東大合格の可能性は現実味が「ほぼ皆無」です。
なぜか。
先に言ったモチベーションの維持もありますが、さらに最初のスタート地点の問題が大きいです。
私の周りで東大に行った子は、大半が遅くとも高一の時点から東大合格のための塾や予備校に通って、徹底的に訓練されています。
さらにいうと、超名門と呼ばれる中高一貫校で、中学段階から6年後の大学受験を見据えて、訓練しているのです。
一般的に中3で既に高校の勉強をしていますね。
これが正真正銘の真実。
ところが、ドラゴン桜の最初の生徒の様子を見てください(ドラマなら1話)。
おそらく中学段階の学習が抜けているのはもちろん、小学校の漢字や計算さえ危うい子たちでしょう。
「今ごろ、漢字ドリルや計算ドリルやってて大丈夫か?」
と私はハッキリ思いました。
伸びるにはどうしても時間がかかるので、小学校の内容さえ理解していないなら、圧倒的に量が足りないのです。
先に述べたように、勉強の仕方は間違っているとは思いませんが、学力が上がるのは時間がかかります。
東大は、高三からスタートして合格できるほど甘くありません。
ちなみに東大の共通テストのボーダーラインは、出願をどこにするかにもよりますが、900点満点中、800点に近いです。
つまり、全教科9割程度、得点しないと勝負になりません。
高三初めに小学校の勉強をしている子が、1日12時間以上の勉強を続けて、1月に共通テスト9割。
「どう考えても無理ですやん…」
という結論に至りました。
ただ、ドラゴン桜の勉強法自体は評価できる部分も沢山ありますし、私はあくまでドラゴン桜は名著だと思います。
ただ、結論としては原作そのままでは少し厳しいと思われます。
最後に、合格率を上げるために
では、現実味を持たせるというか、現実で勉強習慣の無い受験生にやる気を持たせ、少しでも合格率を上げるにはどうしたらいいのか?
やはり10分ほどでもいいから短時間から勉強を始めていくこと。
さらに、最初はつまずいている箇所まで戻って、場合によっては中学や小学校の教材で学習することも必要です。
戻るのは少し大変ですが、勇気を持って戻り、それを理解&暗記していくという小さい成功体験を持たせ、勉強への抵抗をなくすことが大事です。
これの繰り返しで、徐々に勉強時間を長くし、偏差値を上げていけば活路が見いだせます。
高3の段階で、小学校の内容が不安定だと、東大は難しいかも知れませんが、一歩一歩進むことで何かしらの活路が開けますので、頑張って下さいませ。
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